今年の八月、蒸し暑い日の午後の出来事でした。
焼けるような直射日光に肌を焙りながら、玉の汗を流しつつ、近所のスーパーマーケットまで買い物に出向いたんです。
本来なら車で行けばいいのですが、その店は駐車場が狭く、時間帯によっては並ばなくてはいけないので、ブラブラと歩いて行ったわけです。
まぁ、酒類などの重たい品物を買う予定もなかったものでね。
(あぁ、暑い!家に着いたら、すぐにシャワーを浴びよう)などと思いながら、陽炎がゆれる横断歩道を渡りかけたとき、薄汚れた赤い自転車に乗った男性とすれちがったんです。
顔面は日焼けと汚れで真っ黒、口髭を無造作に伸ばし、薄汚い衣服を着て、まるで陽炎に揺られているかのような頼りない運転で、空き缶を大量に詰めたビニール袋を積んだ自転車をこいでいました。
その光景を見たとき、ワタクシの中で一瞬、時間が止まってしまいました。
その人は以前(十年以上も前に)ワタクシが仕事の関係でお世話になったことがある方だったのです。
彼は、非常に優しい人格の持ち主……というよりは、かなり気が弱く、物静かな人でした。
彼とは、ワタクシの仕事が変わってから会うこともなく、ご無沙汰していたのですが、数年前にバッタリと再会したときに松葉杖をついていたので、驚いて事情を尋ねると、腰を痛めて歩行が困難な状態になってしまったとのことでした。
その後の彼の転落ぶりは、ワタクシでも容易に想像が可能です。
恐らく、勤め先は解雇、職もなく、貯金も底をつき、頼る人もなく、そして家賃も支払えなくなりアパートを追い出され、その挙げ句の果てに、現在、ニュースでも話題の湘南名物『ホームレス』となってしまったのでしょう……
ワタクシは、呆然と路上に佇みながら彼の後ろ姿を目で追っていました。
弱々しく走行を続ける自転車の進行方向の先には、あのホームレスたちの住居として名高い、海沿いの『砂防林』があります。
ワタクシは、何かを祈るような気持ちで、彼の背中を見送りながら、その場から動けずにいました。
ふと、その『灼熱の地獄図』が、ワタクシの『未来予想図』のように思えてしまったからなのです。
あのとき、彼がワタクシの存在に気付いていたのかどうか……
それは定かではありません。
焼けるような直射日光に肌を焙りながら、玉の汗を流しつつ、近所のスーパーマーケットまで買い物に出向いたんです。
本来なら車で行けばいいのですが、その店は駐車場が狭く、時間帯によっては並ばなくてはいけないので、ブラブラと歩いて行ったわけです。
まぁ、酒類などの重たい品物を買う予定もなかったものでね。
(あぁ、暑い!家に着いたら、すぐにシャワーを浴びよう)などと思いながら、陽炎がゆれる横断歩道を渡りかけたとき、薄汚れた赤い自転車に乗った男性とすれちがったんです。
顔面は日焼けと汚れで真っ黒、口髭を無造作に伸ばし、薄汚い衣服を着て、まるで陽炎に揺られているかのような頼りない運転で、空き缶を大量に詰めたビニール袋を積んだ自転車をこいでいました。
その光景を見たとき、ワタクシの中で一瞬、時間が止まってしまいました。
その人は以前(十年以上も前に)ワタクシが仕事の関係でお世話になったことがある方だったのです。
彼は、非常に優しい人格の持ち主……というよりは、かなり気が弱く、物静かな人でした。
彼とは、ワタクシの仕事が変わってから会うこともなく、ご無沙汰していたのですが、数年前にバッタリと再会したときに松葉杖をついていたので、驚いて事情を尋ねると、腰を痛めて歩行が困難な状態になってしまったとのことでした。
その後の彼の転落ぶりは、ワタクシでも容易に想像が可能です。
恐らく、勤め先は解雇、職もなく、貯金も底をつき、頼る人もなく、そして家賃も支払えなくなりアパートを追い出され、その挙げ句の果てに、現在、ニュースでも話題の湘南名物『ホームレス』となってしまったのでしょう……
ワタクシは、呆然と路上に佇みながら彼の後ろ姿を目で追っていました。
弱々しく走行を続ける自転車の進行方向の先には、あのホームレスたちの住居として名高い、海沿いの『砂防林』があります。
ワタクシは、何かを祈るような気持ちで、彼の背中を見送りながら、その場から動けずにいました。
ふと、その『灼熱の地獄図』が、ワタクシの『未来予想図』のように思えてしまったからなのです。
あのとき、彼がワタクシの存在に気付いていたのかどうか……
それは定かではありません。

